子どもの障害者就労を考える

高校卒業後の進路の1つとして障害者支援サービスを選択することができる。

通信制高校や特別支援学校を卒業した後の進路を不安に思われる方が多くおられます。在籍中にハローワークを通して一般の企業などに就職する人や、福祉的な支援を受けて就職する人も多くおられます。

一般的な流れとしては、

①自立訓練(生活訓練):生活リズムやコミュニケーションを身につける。

②就労移行支援事業所または就労継続支援B型事業所を利用する。

③一般就労(障害者雇用)または就労継続支援A型事業所に雇用される。

という方が多いかと思いますが、ご本人さんの障害種別や特性によって異なりますので、地域の「障害者就業・生活支援センター」や相談支援の方に相談されることが駒しいです。

こうした公的なサービスを進路選択として知っているのと知らないのとでは、安心感がまったく変わってきます。(自分で申請しないと受けることができません。)

障害者手帳は取得したほうがいい?

これまで多くの高校卒業生を送り出してきた著者からすると、取得できるのであれば取得したほうがいい、と感じています。その時は受け入れがたかったり、迷いがあったりする方は多いですが、後々「取らないほうがよかった」という方はあまり出会いません。

むしろ、自分の障害特性に気づきがないまま大きくなって、自己理解と実際にギャップがあると、そこから医療にかかるのに抵抗があったり、障害者手帳を受け入れることができない状況になってからでは、難しく自分に合う仕事を探して転職を繰り返すことがあります。

福祉サービスを利用するには基本的に障害者手帳が必要になることが多く、ハローワークでも障害者手帳があることで障害者雇用の求人を出してもらうことができ、自分に合った仕事を見つける近道にもなります。

高校卒業後に障害のある子の就職はどこに相談したらいいですか?

① ハローワーク

求職の登録をしたのち、職業相談や仕事の紹介をしてくれます。

② 障害者就業・生活支援センター

自立した生活が送れるよう地域の他の機関と一緒に、仕事と生活の両面で支援をしてくれます。

③ 市区町村の窓口、指定相談支援事業者

支援の受け方や、どこに行けばいいかを教えてくれます。

自立訓練・就労移行支援・継続支援とは何ですか?

障害者手帳をお持ちの方が対象のサービスですが、医師の診断書などにより発行される「受給者証」でもご利用可能な場合がありますので、各事業所に直接お問い合わせください。

■自立訓練(機能訓練)

障害者につき、障害者支援施設若しくは障害福祉サービス事業所に通わせて当該障害者支援施設若しくは障害福祉サービス事業所において、又は当該障害者の居宅を訪問して、理学療法、作業療法その他必要なリハビリテーション、生活等に関する相談及び助言その他の必要な支援を行います。

【対象者】

 地域生活を営む上で、身体機能・生活能力の維持・向上等のため、一定の支援が必要な障害者。具体的には次のような例が挙げられます。
 (1) 入所施設・病院を退所・退院した者であって、地域生活への移行等を図る上で、身体的リハビリテーションの継続や身体機能の維持・回復などの支援が必要な者
 (2) 特別支援学校を卒業した者であって、地域生活を営む上で、身体機能の維持・回復などの支援が必要な者 等

■自立訓練(生活訓練)

障害者につき、障害者支援施設若しくは障害福祉サービス事業所に通わせて当該障害者支援施設若しくは障害福祉サービス事業所において、又は当該障害者の居宅を訪問して、入浴、排せつ及び食事等に関する自立した日常生活を営むために必要な訓練、生活等に関する相談及び助言その他の必要な支援を行います。

【対象者】

 地域生活を営む上で、生活能力の維持・向上等のため、一定の支援が必要な障害者。具体的には次のような例が挙げられます。 (1) 入所施設・病院を退所・退院した者であって、地域生活への移行を図る上で、生活能力の維持・向上などの支援が必要な者
 (2) 特別支援学校を卒業した者、継続した通院により症状が安定している者等であって、地域生活を営む上で、生活能力の維持・向上などの支援が必要な者 等

■就労移行支援

就労を希望する障害者であって、通常の事業所に雇用されることが可能と見込まれるものにつき、生産活動、職場体験その他の活動の機会の提供その他の就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練、求職活動に関する支援、その適性に応じた職場の開拓、就職後における職場への定着のために必要な相談その他の必要な支援を行います。

【対象者】

 就労を希望する65歳未満の障害者であって、通常の事業所に雇用されることが可能と見込まれる者。具体的には次のような例が挙げられます。 
(1) 就労を希望する者であって、単独で就労することが困難であるため、就労に必要な知識及び技術の習得若しくは就労先の紹介その他の支援が必要な者
 (2) あん摩マッサージ指圧師免許、はり師免許又はきゅう師免許を取得することにより、就労を希望する者
 ※ ただし、65歳以上の者については、65歳に達する前5年間(入院その他やむを得ない事由により障害福祉サービスに係る支給決定を受けていなかった期間を除く。)に引き続き障害福祉サービスに係る支給決定を受けていたものであって、65歳に達する前日において就労移行支援に係る支給決定を受けていた者に限り対象とします。

※就労移行支援事業所(例)

そのひとりの「働きたい」にこたえる。【LITALICOワークス】

■就労継続支援A型(雇用型)

常の事業所に雇用されることが困難な障害者のうち適切な支援により雇用契約等に基づき就労する者につき、生産活動その他の活動の機会の提供その他の就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練その他の必要な支援を行います。

【対象者】

 企業等に就労することが困難な者であって、雇用契約に基づき、継続的に就労することが可能な者。具体的には次のような例が挙げられます。 (1) 就労移行支援事業を利用したが、企業等の雇用に結びつかなかった者
 (2) 特別支援学校を卒業して就職活動を行ったが、企業等の雇用に結びつかなかった者
 (3) 企業等を離職した者等就労経験のある者で、現に雇用関係がない者
   ※ 65歳以上の者については、65歳に達する前5年間(入院その他やむを得ない事由により障害福祉サービスに係る支給決定を受けていなかった期間を除く。)引き続き障害福祉サービスに係る支給決定を受けていたものであって、65歳に達する前日において就労継続支援A型に係る支給決定を受けていた者に限り対象とする。

■就労継続支援B型(非雇用型)

通常の事業所に雇用されることが困難な障害者のうち通常の事業所に雇用されていた障害者であってその年齢、心身の状態その他の事情により引き続き当該事業所に雇用されることが困難となった者、就労移行支援によっても通常の事業所に雇用されるに至らなかった者その他の通常の事業所に雇用されることが困難な者につき、生産活動その他の活動の機会の提供その他の就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練その他の必要な支援を行います。

【対象者】

 就労移行支援事業等を利用したが一般企業等の雇用に結びつかない者や、一定年齢に達している者などであって、就労の機会等を通じ、生産活動にかかる知識及び能力の向上や維持が期待される者。具体的には次のような例が挙げられます。 
(1) 就労経験がある者であって、年齢や体力の面で一般企業に雇用されることが困難となった者
(2) 50歳に達している者又は障害基礎年金1級受給者
(3) (1)及び(2)のいずれにも該当しない者であって、就労移行支援事業者等によるアセスメントにより、就労面に係る課題等の把握が行われている本事業の利用希望者
(4) 障害者支援施設に入所する者については、指定特定相談支援事業者によるサービス等利用計画案の作成の手続を経た上で、市町村により利用の組合せの必要性が認められた者

>>次回は、障害者手帳を持っていたら受けられるサービスについて解説!

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